不倫慰謝料の請求に失敗する事例

文責:所長 弁護士 秋葉俊孝

最終更新日:2025年05月13日

1 不倫慰謝料請求に失敗してしまう3つのケース

 不倫慰謝料の請求は、法律的には比較的単純なものではあります。

 しかし、法律上請求しやすいことと、実際に慰謝料の支払いを受けられることとは別問題であり、実務においては注意すべき点がいくつもあります。

 代表的な失敗例は次のとおりです。

 

 ①証拠の取得に失敗し慰謝料請求が困難になる

 ②支払いを受けられる不倫慰謝料が費用を下回ってしまう

 ③示談の内容とおりに不倫慰謝料が支払ってもらえない

 

 以下、それぞれについて説明します。

2 証拠の取得に失敗し慰謝料請求が困難になる

 不倫慰謝料を請求するための前提として、不倫をした配偶者と不倫相手との間における不貞行為の存在を証明する証拠が必要となります。

 しかし、感情が先行して相手を問い詰めてしまうことや、証拠を集める前に慰謝料を請求してしまうことをすると、相手が警戒して証拠を隠す、削除するという対応を取ることがあります。

 このような状況になってしまうと、確実な証拠がないまま慰謝料請求をせざるを得なくなり、最終的に請求が認められない、または低額での解決になってしまうリスクがあります。

3 支払いを受けられる不倫慰謝料が費用を下回ってしまう

 弁護士に不倫慰謝料請求を依頼する場合、着手金や成功報酬などが必要となります。

 また、証拠収集を興信所などに依頼すると、さらに費用がかかることもあります。

 その一方で、実際に得られる不倫慰謝料が少額(数十万円~100万円程度)である場合、費用の方が高くなってしまい、経済的にはマイナスになることもあり得ます。

 事前に、事案に応じた不倫慰謝料の相場を確認しておくことも大切です。

4 示談の内容とおりに不倫慰謝料が支払ってもらえない

 相手と話し合いをして慰謝料の金額や支払期限を決め、示談書を作成したとしても、相手が実際には慰謝料を支払わないということもあります。

 このような状況になってしまった場合、示談書を証拠として訴訟を提起せざるを得ないことがあります。

 訴訟提起後、勝訴判決を得て、相手の財産を差し押さえて慰謝料の回収をします。

 示談書を強制執行認諾文言付きの公正証書で作成していた場合、訴訟提起を経ることなく差押えができます。

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